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令和5年度暑中稽古 角範士八段による講話

日本には古くから伝えられている"ことわざが"あります。
好きと巧み、上手の
三つを比ぶれば
好きこそものの上手なりけり

好きとは
物事にと組む時に好きな事、例えばピアノを弾くのが好き、数学の問題を解くのが好きなどその事が好きな事
巧みとは
やり始めたらすぐにそれらしくできる器用な人
上手とは
技を身につける、試合に勝てる、昇段審査に合格するなど目標となる事

その三つを比べてみた時に
何が一番大切かと言うと好きになる事が上手になる秘訣ですと教えています。

皆さん、剣道がすきですか?
私は10歳、戦後禁止されていた剣道が復活した年から剣道を始めました。
以来、小中高と剣道を続けてきたけれど剣道が好きだと思った事は1度もなかった。
それはなぜか… ほめられた事が1度もなかったから…
けれどなぜか剣道に惹きつけられ辞めたいと思った事は1度もなかった。
好きだと思った事は1度もなかったけれど、辞めたいと思った事も1度もなかった。
しかし、あの時もっと剣道が好きでいたらもっと上達していたのではないかと残念でしょうがない。
では、好きになる秘訣はなんでしょうか?
ほめられると、人はまた次の課題や新しい事に挑戦しようとする意欲が湧いてくるものなのです。
しかし、先生方やお父さんお母さんはなかなかほめてくれない…
さぁ、どうする?もう剣道を嫌いになるか?辞めてしまうか?
嫌いだけど我慢してやるか?…

二つ秘訣をお教えします。
一つ目は
どんなに叱られても苦しい稽古が待っていても、友達同士励まし合って
友達の助けを借りる事。逆をいえば友達を助ける事。剣道は痛いし、きついし、臭い…
苦しいけれど友達と助け合えば明日もまた頑張ろうねという気になります。
二つ目は
自分をほめる事!先生やお父さんお母さんにほめられなくても自分で自分をほめる事です。
この方法を覚えて下さい。
自分はできるんだ!くたくたになって、足が痛くなって手に豆ができても自分は剣道頑張ってきたんだ!と
自分をほめてください。みなさん沢山の可能性を秘めています。その可能性を信じて自分をほめてください。
この二つの事を覚えると、きっと好きになる近道が見えてくると思います。

では、私がなぜ今も剣道を続けているか…
それは26歳の時、京都演武会で立会いをした時に偉い先生から"いい剣道をしている"とほめられた事、
その言葉を機にそれまで好きだと思った事はなかったけれどこれからも続けよう今まで自分がやってきた
剣道でいいんだと自信を得て今に至ります。

”ことわざ”と二つの秘訣を忘れないように剣道を好きになって稽古には励んで下さい。